ISIL(イスラム国)を分析4。(真実は無限にある)

ISIL(イスラム国)について書いた理由

4ヶ月以上に渡ってお届けしてきた「ISILの分析」も今回で最後です。もしかしたら、あなたはこう思っているかもしれません。

「スピリチュアル系のブログなのに、テロや戦争について書いてあるなんて、何か変なブログだな?」

実際その様なお言葉をいくつも頂きまいた。そこで、敢えて言葉を選ばずにお伝えしますが、スピリチュアル記事を書くというのは、もの凄く簡単な事なんです。正直、誰でも書けます。世の中にある問題に対し、抽象的に言葉を並べ、「後はあなた次第です。」と書けば良いのです。それだけで、それっぽい記事が書けてしまいます。

さらに、随所に霊的な用語を散りばめておけば尚良しです。ネット上にあるスピリチュアル系の記事や書籍は、大抵そんな感じで構成されています。こういった戦争やテロの様な問題を題材にしても同じです。例えば

  • 争いは憎しみしか生みません
  • 愛を持って接しましょう
  • あなたの身近な人を大切にしましょう。その連鎖によって世界から争いが無くなります
  • シルバーバーチ(スピリチュアリズムを人々に伝えた高級霊)は、戦争を望んでいません

こういったフレーズをキメに使って文章を作れば、スピリチュアルっぽい記事の出来上がりです。スピリチュアリズムの観点から見ても、これは間違った事ではありません。戦争などの現世の争いで、多くの命が失われる事を、霊界の高級霊たちは憂いています。これはシルバーバーチの残した霊訓からも見てとれます。

ですからスピリチュアル系の記事は、上記の様なまとめ方でも別に構わないのですが、難点が一つあります。それは

「具体的な解決方法が謎すぎる」

スピリチュアリズムというのは、魂の成長を促す思想です。真善美の追求の下、人生の問題に向き合い、愛に満ちた魂に進化する事が目的です。人生の中で気付きを得て、魂を成長させるのはその人自身。ですから、スピリチュアルの話は抽象的になり易いのです。しかし抽象的な話に偏り過ぎると、内容の薄い空っぽな記事になってしまいます。

スピリチュアリズムは非物質・精神的な話です。そのためスピリチュアル記事というのは、現実的でない物が数多くあります。襲ってくるテロ組織に対し、

「争いは悲しみしか生まない!!」

と叫んだところで、テロ組織は襲って来るわけですから、現実的ではありませんよね?そういった疑問を持った人に対して、スピリチュアリストは大抵、次の様な答えをします。

  • 「魂は永遠だから必要以上に死を恐れても仕方がない」
  • 「あなたが心から求める事をしましょう。魂の学びを得るために私たちは生まれて来ています」
  • 「魂にはカルマがあります。時代、生まれた国や地域は、あなたが魂のカルマを消化するために、あなた自身の魂が全てを選んだのです」

いや確かにそうなんですが、それだけ言って「後は自分で解決しろ」と丸投げするのも、正直気楽なもんだなとも思います(笑)。スピリチュアリズムと現実世界とのかい離を埋める為には、どうすれば良いのだろう?それが、ここ最近の私のテーマでした。

現世の魂はそれぞれのテーマを持って、この世に生まれてきています。それと同時に、全ての魂は全ての行動に対し、完全な自由意思が尊重されています。ですので、この記事に於いても最終的には、あなたに委ねる事になります。しかし、全てをまる投げするのではなく、考えるヒントや切っ掛けを、あなたと一緒に探っていきたいと思っています。

スピリチュアリストはド素人

スピリチュアリズムの基本理念は真善美。非常にシンプルで汎用性が高い思想です。それ故にスピリチュアル系の記事は、情報発信者にとって書きやすく、安易で都合の良い記事になり易くあります。なぜなら大半のスピリチュアリストは、

スピリチュアリズムの専門家であっても、その他の事に関してはド素人だからです(笑)。

人間は、自分の知らない事に関しては、曖昧にして誤魔化すものです。しかしスピリチュアリストが情報を発信すると、何か素晴らしい事を言っている気がして、全ての発言は肯定的に捉えられてしまいます。心理学ではこれをハロー効果と呼びます。ハロー効果とは、何か強い印象を受けた際、その印象に引きずられて、歪んだ評価を下してしまう現象の事です。例えば

  • 東大卒は仕事が出来る
  • 警察官は全員、正義感が強い
  • ロックミュージシャンは酒と煙草が好き
  • IT業界の人だからパソコンが得意
  • スーツを着ている人はビジネスマンで、みすぼらしい格好の人はホームレスetc.etc……

この様に、人の見た目や職業などによって、その人の性格や趣味趣向、得意分野までイメージし、勝手な人物像ができあがります。スピリチュアリストに関しても同じで、例えば

  • スピリチュアリストは全員、霊能力を持っている
  • スピリチュアリストは万物の全てを理解している
  • スピリチュアリストは人格者である
  • スピリチュアリストは見えない不思議な力で、様々な問題を解決してくれる

といったハロー効果が期待できます。しかしスピリチュアリストはそうではありません。霊的世界を受け入れ、真善美の下、魂を磨いていく思想(スピリチュアリズム)を実践する人。それをスピリチュアリストと呼びます。ですから、スピリチュアリストは霊能力を持っている必要はありません。たとえ霊能力を持っていたとしても、能力を悪用している人はスピリチュアリズムを実践しておらず、スピリチュアリストでは無いと言えます。

スピリチュアリストは、霊的世界に詳しいだけの普通の人ですから、万物の全てを理解している訳ではありません。スピリチュアリズムの実践には個人差がありますから、全てのスピリチュアリストが人格者とも限りませんし、スピリチュアリズムは思想であって魔法の力では無いので、様々な問題を解決してくれる不思議な力にもなりません。

私も一応、スピリチュアリズムを実践している一人ですが常々、霊的世界の視点だけで物事を判断する事に限界を感じていました。私たちが生きているのは霊的世界ではなく、現実世界だからです。霊的世界も現実世界の一部ではありますが、それはさて置き(^^)。

よく誤解されやすいですが、スピリチュアリズムは霊的世界の話だけをしている訳ではありません。霊的世界の存在を肯定した上で、現実世界(現界)で真善美を実践していく思想です。真実であること、善意であること、美意識を持つこと。これらは魂を磨く上で、非常に大切な要素です。ならば真善美の下に、現実世界にもっと目を向けてみよう。特に戦争における国や民族の争いは、様々な駆け引きや騙し合いの下で行われており、善意や美意識よりも「真実であるか?」が重要になってきます。そういった理由から今回、ISIL(イスラム国)にスポットを当てて、様々な視点から「真実」を皆様にお伝えした次第です。

それでは次の項目で、9.11テロ以降の真実を、また別の視点から見てみましょう。

商品名は「バグダットの政権交代」

2001年9月11日
アルカイダの構成員が航空機をハイジャックし、アメリカ国内で4つのテロ事件をおこしました。これを9.11テロと呼びます。世界貿易センタービルを始めとし、多くの犠牲者が出ました。

9.11から僅か4日後、イラクへの攻撃のがアメリカ議会で発案されます。その後はアフガニスタンに対し、テロの首謀者であるオサマ・ビン・ラディンを引き渡すように要求しますが、アフガニスタンはこれを拒否。そのためアメリカは、アフガニスタンを攻撃します。

2003年3月
「サダム・フセインはアルカイダと繋がっている」
「イラクは大量破壊兵器を持っている」
そう言って、アメリカはイラクに対し戦争を仕掛けます。しかし、結局はフセインとアルカイダの繋がりはなく、大量破壊兵器もありませんでした。(IAEA、米軍の高官の見解)

2003年4月9日
民衆の手により、バグダッドのサダムフセイン像が破壊されました。独裁政権が終わり、民主主義の勝利が印象的に報道されます。しかしこれは、アメリカ政府が大手広告代理店「レンドン・グループ」に演出を依頼し、作成された映像でした。レンドン・グループはこれを750万ドルで請け負います。その商品名はバクダットの政権交代でした。

フセイン像崩壊

シナリオは実に巧妙なものでした。ブッシュ大統領の勝利表明や、ジェット機で洋上の空母に降り立ったのもシナリオ通りでした。次に、バグダッドのフセイン像をサクラを含めた民衆で取り囲み、アメリカ兵がその周りでバリケードを築きます。もちろん報道機関は全てアメリカのものですから、アメリカ兵のバリケードは撮影しません。

シナリオ通りに、アメリカ兵がフセイン像の頭部に星条旗をかぶせ、シナリオ通りに民衆が像を引き倒します。全てイラク戦争をを正当化するため、巧妙に企画されたものでした。いったいその理由は?それこそが、このシリーズの一番最初にお伝えした「石油の輸出をユーロ建て」の話につながる訳です。

壊したインフラを直した

当時のアメリカ副大統領であるディック・チェイニーは、ハリバートンのCEOでもありました。ハリバートンは主に、石油と天然ガスの探査及び生産設備を製造する会社です。

ディック・チェイニー副大統領

ディック・チェイニー副大統領

イラク戦争に於いてアメリカは、イラクの様々なインフラ設備を破壊しました。それらの復旧の多くをハリバートンが請け負いました。つまりアメリカ政府は自分で壊して、自分で直した事になります。

では、それらの工事費は一体どこから出たのでしょうか?ずばりアメリカ国民の税金です。つまり、ハリバートンはアメリカ国民の税金で儲ける事ができたとも言えます。自分で火をつけ、自分で火を消す。完全なマッチポンプ方式です。

いったい誰が一番悪いのか?

「アメリカが世界を騙して、これだけの悪行を働いたのだから、当然悪いのはアメリカだろう!?」

このシリーズでは、そう思われて当然の内容を書いてきましたが、それもちょっと違います。前項でお伝えしましたが、イラク戦争でお金を儲けたのはハリバートンを始めとする企業です。ハリバートンはインフラを整備する会社です。その他では軍事兵器を製造するカーライル・グループや、民間の軍隊会社であるアカデミなどがお金を儲けました。

この様に政府の方針と、企業の利益には深い繋がりがあります。政府と企業、資本家が強く結び付く事をコーポラティズムと呼びます。コーポラティズムが強まると、国の政治にも大きく影響します。企業が自分たちの利益を優先するため、政治に口を出すからです。それでは何故、政府は企業の発言を無視出来ないのでしょうか?

その理由は、多額の選挙資金を援助して貰っているからです。特にアメリカ大統領は、この傾向が強く表れます。金額で言うと10~20億ドルものお金が、一人の大統領候補に援助される訳です。日本円で約1590億円(20億ドル)もの大金です。それだけの援助を受ける訳ですから、政府としては、企業や資本家の声を無視する事は出来ません。企業の声が、政治に影響を与えるのも当然と言えるでしょう。

アメリカの政治を見てみると、いかに献金が政治に影響してるかが、よく分かります。例えばオバマ大統領の場合、リーマンショックで経済に激震が走った際、真っ先に救済したのは銀行でした。そして、お金の流れをよく見てみると、オバマ大統領は選挙の際、銀行から多額の献金を受けていた事が分かります。

アメリカ政府は法改正を行い、企業からの献金の上限を撤廃しています。これからのアメリカではコーポラティズムがどんどん加速して、企業の思惑通りに政治が行われる事が容易に予想されます。

株式会社の特性

企業が自分たちの利益を優先し、それが政治をも動かし、結果として多くの人たちが争いの犠牲になる。そう考えると、一番悪いのは「企業」となるのでしょうか?実はそれも違います。

株式会社は誰の物かというと、株主の持ち物です。そして株式会社の目的は、儲けた利益を配当金として、株主に還元する事です。より多くの配当金を還元する事で、その会社の企業価値が高まります。そうすると資本家たちは、その企業を信頼し、さらに多くの資金を投資したいと考えるのです。

この株主たちは多国籍で、多くの国にまたがって存在しています。ですから、いったい誰が株主であるか傍目には分からないというのが特徴です。

資本主義は崩壊している

投資家は世界中に存在します。株式会社は、その沢山の人たちの持ち物です。そうなると、世界中の投資家が利益を求めた結果、世界中で戦争が起きている事になります。もうここまで来てしまうと、収拾がつきませんね。資本主義の経済システムそのものを批判する事にもなりかねません。

確かに、「現代の資本主義経済は崩壊している」とよく言われています。経済学者のトマ・ピケティによると、資本主義経済に於いて大企業は、自らが活動している経済市場を独占する為にM&A(企業合併・企業買収の総称)を繰り返します。そうすると市場の寡占化が進み、少数の企業が市場価格を支配できる状態になります。

一部の企業の力が極端に強くなり、市場はその企業の言いなりになってしまいます。それを防ぐためには、タックス・ヘイブン(税金が軽減、もしくは完全に免除されている国や地域)を無くして、全ての国が大企業から多額の法人税を取る必要があると、トマ・ピケティは訴えています。ですが、恐らくそれは無理でしょう。

企業の力が強くなりすぎると、政治への発言力が増します。企業は政治家に多額の献金を送ります。そして自分たちにとって都合のよい法律を作らせ、逆に都合の悪い法律を破棄させるように政治家に働きかけます。政治家としても、企業からの献金を止められると、選挙に勝つことが難しくなりますから、企業の発言を無視できなくなります。そんな状況に世界中がなっているのですから、タックス・ヘイブンを無くしたり、大企業から多額の法人税を得ることは不可能に近いでしょう。政治家そのものが企業の言いなりになっているのですから。

戦争がビジネスになっている

軍事産業を中心に、私企業・軍隊・政府機関が形成する、政治的・経済的・軍事的な連合を軍産複合体と呼びます。軍事産業は裾野が大きく、沢山の企業が関わる為、ひとたび戦争が起きると、経済が大きく活性化します。認めたくないですが、紛れもない事実です。

日本の場合も同じです。第二次世界大戦で敗戦した日本は、経済的に疲弊しており、大変貧しい国でした。そんな国が急速に成長し、世界トップクラスの経済大国に慣れたのも、実は戦争のお陰なのです。

第二次世界大戦直後の1950年。朝鮮半島で戦争が起きました。北朝鮮と韓国との間で、朝鮮半島の主権をめぐり、争いが起きたのです。この戦争では北朝鮮にはソ連が、韓国にはアメリカが味方していました。当時の日本はアメリカの占領下にありましたから、当然アメリカの見方をしました。

アメリカ兵が朝鮮半島で戦うためには、大量の武器が必要でした。その武器の製造を日本が請け負い、そのお陰で鉄鋼業が活性化し、日本経済が大きく発展したのです。いわゆる戦争特需です。

現代においても、アメリカが戦争する理由の一つが、この戦争特需です。コーポラティズムが進み、政治が企業の言いなりになり、企業がお金を儲けるために様々な理由の下で戦争が起こり、その企業は株主利益を優先して、投資家の為に経済活動を行っている。そして、その投資家は特定の国の人物ではなく、多国籍で世界中に存在してる。これが今の世界の状況です。

まとめ~真実の本質~

戦争は悪いことで、この世界から無くさなくてはならないもの。それは当然の事なのですが、それを感情論だけで言って良いのは子供だけです。大人はそれを論理的に理解しなくてはなりません。それが大人の責任です。その為には政治、経済、宗教、歴史など様々な観点から、現状を理解する必要があります。

このシリーズでは「真実」をテーマに、様々な事を皆さんにお伝えしてきました。ですが、私がお伝えした事が全て正しい真実であるとは申しません。なぜなら「たった一つの真実」など、この世には存在しないからです。

真実は揺るぎない固定されたものではなく、多角的な視点を持つことで、多様に変化するものだからです。ですから50億人の人間がいれば、この世界には50億人分の真実があると言えます。あなたの視点で多くの真実に触れ、あなたの意思で思考しましょう。そうする事で、真実はあなたの中で精査され、パズルのピースの様に一つに繋がりだします。

その真実を元にして、あなたの感情が求める行動を起こしましょう。この世に生きる私たちは、全ての行動に自由意志が認められています。それが真善美の一つ、真実の本質です。

あなたが、あなたの真実と自由意志の下、いきいきとした人生を過ごされることを。そして、この世から戦争などの争いが無くなる事を真に願って、このお話を終えたいと思います。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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