自我に備わる「4つの機能」~心理学編~

先日は、自我とは何かを大まかにお伝えしました。今回は、主な4つの「自我の機能」についてお伝えしたいと思います。
自我とは何か?~心理学編~

現実機能
現実の自分の能力や状況を、理解・把握する機能。この機能が働いていないと、極度な妄想型の人間になります。例えば、

・平凡で努力もしない野球選手⇒メジャーリーグを目指す。
・料理をした事が無い⇒5つ星レストランのシェフになりたがる。
・普通の人間⇒自分はスーパーマンの様に強いと思いこみ、誰かれ構わずケンカを売る。

特に、自意識が強く、プライドが高い人が上記のような症状に陥りやすいです。自分を必要以上に大きく見せようとするのは、自信のなさの表れとも言えます。

適応機能
自分の行動を、自分の能力と目標(理想)を照らし合わせて、合理的に選択する機能。この機能が使われるのは

・転職しても、そこでやっていける能力があるか?
・結婚生活を維持できるほど、精神が成熟しているか?
・気に入らない人に反発して(例えば上司や先生、先輩)、大丈夫な状況、立場にあるか?

といった状況です。選択を迫られる場において、最良の選択を考え、選ぶための機能です。
この機能が働いていないと、腹をたてたら暴力をふるい、心が傷つけばひきこもり、不安な事があればパニックに陥ります。
選択肢に中間が無く、極端から極端に走る傾向があります。

防衛機能
エス(本能・欲望)と、超自我(理性)を状況に合わせ、適度に抑える機能。
この機能がうまく働いていないと、

・初デートでいきなり相手に抱きつく(エス過多)
・付き合って10年も経つのに紳士淑女ぶって、性的関係を結ばない(超自我が過多)

といった事になってしまいます。防衛機能は、予想されるリスクを避けることによって、心を安心させる機能です。リスクから身を守る(防衛)事により人間は、不安も葛藤もない安定した心でいられます。

統合機能
一つのまとまった人格を作る機能。自分の嫌いな部分や、矛盾している部分も一つの人格に含められます。この機能が働いていないと、

・思春期危機によるアイデンティティーの崩壊。(※思春期は、ホルモンバランスが急激に変化する時期なので、精神的に不安定になり易い。結果、自分に自信が無く、常に「他人が自分を馬鹿にしている」かの様な感覚に襲われます。これを思春期危機といいます。)

・人格を一つにまとめられないので、人格がバラバラに崩壊し、多重人格になります。

 

これらの機能は、体調により活動が変化します。私達は、精神と肉体を分けて考えがちですが、それは大きな間違いです。思考をするのは脳であり、脳は身体の一部です。

よく、「悩み事や考え事は、夜ではなく朝にしろ」といわれますが、これは的を射た答えです。一日を過ごした後、夜を迎えるのですから、その体は疲れていますし、当然脳も体の一部ですから疲れています。

ですから、夜の疲れた状態では、自我機能が正常に作動せず、悩みに正しい判断を下す事が困難です。自我機能を上手く活用する為には、規則正しい生活を送る事が大切です。

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